2021年11月 投稿<短歌・俳句・川柳集>

短歌・俳句・川柳を8月・9月会報にて一般募集したところ、以下の方々から投稿がありました。
傑作、名作、迷作の数々をご紹介いたします。応募していただいた会員の皆様ありがとうございました。

短 歌
安倍 敬祐 <コロナと共に生きる>
ワクチンの接種を終えて一安心 コロナのニュースも酒の肴に
ワクチンの残す痛みに励まされ コロナの防衛肌身に滲みる
コロナ禍の過ぎ去ることを念じつつ 今日も飲みつつ明日を夢見る
井上 兼一 秋の田のひこばえ青くそよそよと田植えの後の如く広がる
大滝 義宣 <過ぎし日々の記憶>
若き日に宮先生の添削を 受けたる短歌うたを懐かしく読む
室蘭の四基の高炉がフル稼働 熱気の時代を生きた喜び
陰湿ないじめを受けし職場あり 時に浮かび出て心波立つ
街すべて破壊尽くして家車 海へ流した濁流非情
団塊に生まれ競いて活躍し いま年老いて密やかに去る
白川 興一 暮れてなお命の限り蝉しぐれ 我も学ばん先人の意気
渓水ケイスイ(實) <新潟・栃尾又温泉・自在館にて>
百有余階段くだ微温ぬるき湯の大岩風呂に老ひをいやせり
河鹿かじか鳴く阿武隈川の源流の秘湯の宿に級友ともと寛ぐ

俳 句
井上 兼一 オーヒンチョコチョコ側を通るとパタと止む
   *オーヒンチョコチョコはツクツクボウシの鳴き声
後藤 實 ボール蹴る少女を包む小春の日
バスを待つ五分の風に寒戻る
床屋から戻る坂道日の盛り
コロナ禍に惑ふことなし法師蝉
白川 興一 コロナ禍も 猛暑も何ぞ 菜園へ
渓水ケイスイ(實) 今も尚如矢ゆきやの道後松山城
  *伊佐山如矢=道後町長・道後温泉本館建設など道後開発の功労者
         明治政府の城郭取壊令に対して公園化する事で松山城を守った。

渡り来てだ生きるぞかづら橋
  *四国・日本三大奇矯の一つ・一歩踏み外(はず)せば下は地獄の谷底
純白の眺めに失意の寒霞渓かんかけい
  *小豆島・期待していた頂上からの眺望もミルクを溶いたような濃霧で何も見えず

川 柳
大滝 義宣 惚け爺 ポチにはかなわぬ血統書
惚け爺 点滴より効くコップ酒
惚け爺 毎日きっちり不摂生
惚け爺 何もせぬのに熱中症
惚け爺 信じて来た道ずれていた
武石 憲子 オンライン急いで着替える上半身
富田 純代 しっとりと色香漂う姫小繭
変異株記録更新菌競技
ピッタリとマスク張り付くボッチャ顔
中澤 紫紅 リモートで曾孫の鳴き声やっと知る
孫あやす息子貴方も夜泣きっ子
御樗栗オチョクリ(實) 餌やって魚集める海底館
  *四国足摺竜串海岸・本音は観光客を集めてる?
生憎あいにくと小銭で落せるやくは無し
もう結構武漢コロナに変異株
柳田 土情(敬介) 新入りにコロナのニュースを聞くあの世
流行りもの必ず終わるときが来る

狂 歌
大滝 義宣 誤魔化しは胡麻をまぶした菓子のこと 甘味効き過ぎ後味悪し
風流の最たるものは花見して ゴミは樹の下風に任せる
嘘つくと地獄で閻魔が舌抜くと こちらもマジで嘘ついた
外遊の回数自慢の某首相 成果はいつもナシのお土産
電車内化粧始めたスッピンが三分間で美女に変身
御樗栗オチョクリ(實) 冬籠り三題
寝ても寝てもだ寝足らざる冬籠り武漢コロナも満更でなし
寝ても寝ても未だ寝足らざる冬籠り子供と違いじいは育たず
寝ても寝ても未だ寝足らざる冬籠りながの眠りも近き身なるに

自由詩
中澤 紫紅 今日も歩く散歩道
  振り返ればそこに貴方
    金木犀の香りつれて


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