短歌・俳句・川柳を7月会報にて一般募集したところ、以下の方々から投稿がありました。
傑作、名作、迷作の数々をご紹介いたします。応募していただいた会員の皆様、ありがとうございました。
【短 歌】
安倍 敬祐 |
台風去りし夜明けの空に残る月 昇る朝陽に「そろそろ秋か?」 台風去りし樹林に響く蝉の声 日々に静まり夏を惜しむか 台風去りし碧空を駆け抜くジェット機の 引く白煙細く秋を告げるか |
井上 兼一 | ふるさとの獅子舞踊り見に行けば同級生の老いし顔あり |
大滝 義宣 | <春、善福寺川緑地公園をめぐりて> 散歩とは散る花眺めて歩くこと花吹雪あり花筏あり 樹と別れ花潔し風に乗り川を下りて行く先問わず 花びらは風に任せて散って行く我が来し方の軽きさま似て 桜見る想い年ごと深まりて春の儚き一会愛しむ |
中村 光男 | 唐突に分かれるという人のあり 赤い惑星大接近の夜 |
森 旅人(實) |
美しき佳き国なりき日本は秋篠寺の苔の輝き 若き日に父と訪ねし石舞台六十年経て老妻と立つ 小さくとも繁みを分けて五重塔再度出会いの何か嬉しく *室生寺 |
【狂 歌】
森 御樗栗(實) |
船弁のおせち料理は美味けれど全部は喰へぬ老いの胃袋 *清水港クルーズ マッサンもリタもフォックスも居らねども林檎ジュースは実に美味かりき *余市蒸留所にて 種蒔けど全く芽が出ず俺みたい草臥れ儲けのヴェランダ菜園 |
【俳 句】
井上 兼一 | 蘗の稲刈り後の青田かな |
後藤 實 |
蝉時雨高温警報出でし朝 座敷より見ゆる山並雲の峰 泥鰌鍋男ばかりの昼の酒 |
森 旅人(實) |
首塚に入鹿の無念思ひやる *飛鳥寺 津和野町初めてなのに懐かしき 何もかも面倒くさきや戻り梅雨 |
【川 柳】
大滝 義宣 |
呆け爺 顔と脳との シワ逆転 呆け爺 悩み多いが 酒旨し 呆け爺 妻の叱言も 修行なり 呆け爺 妻に迫られ 断車離す |
森 御樗栗(實) |
渋滞で紫式部待ちぼうけ *渋滞で石山寺カット 河童橋雨合羽橋に化けにけり *上高地突然の豪雨 動かざる郡上踊りは石の像 |