(第12回)3月例会詠草    平成15年3月14日 (金) 於 代々木倶楽部 榊

身体髪膚之を父母に受くと読み 性教育を受けしことなし  石河 利昌
朝あさに清らに祈る姿こそ神の御心永久とわにうつらむ  井田 理一
取手宿のみち辿りきて早春の利根川べりの堤防に出づ  加藤 良之
失敗を怒れば妻は笑いたり笑い上戸に怒りもうせり  日下部 靖
アメリカとイラクの諍い知らんとてテレビを視れば更にわからず  小山 安彦
水張りしボールの蜆しどけなく唇ひらき「フフフ」と笑う  田中 清枝
バーコード手首に巻かれ患者われ医療産業の商品となる  茶木登茂一
製鉄の最古の名負う釜石に先駆の偉人高任の像建つ  戸澤  工
たたかいをうべなう如き人ありておぼえず卓を叩き駁せり  中津海知定
躓きし日も遠くしてふきのとう萌えゐる朝の岸辺歩みぬ  中野 東音
よく冷えたコンソメスープの喉越しに君のひとこと通り抜けてく  秦  晴美
花びらを反らせて開くシクラメン 春の力の湧くごとくあり  原  昌子
五十年来し方想ふ池の辺に芽柳透きて時計台見ゆ  守田 和之
さんさんと産廃場に日の差して春の大地は静かに病めり  守田 満子
雪残る春の日和に畝々の青葱ピンと立ち並びをり  萬   勇