日本製鉄OB会報 2025年1月号 日本製鉄OB会代表 三村明夫 年頭挨拶
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年頭挨拶
日本製鉄OB会 代表 三村 明夫
(日本製鉄竃シ誉会長)
明けましておめでとうございます。会員の皆さまにおかれましては、良き新年をお迎えになられたことと、心からお慶び申し上げます。
昨年は、コロナ禍の終息以降、皆さまも通常の生活を取り戻されたことで、OB会主催の各種行事についても、以前のような活気溢れる活動が展開できた年だったかと思います。私自身、行事には出来るだけ参加をさせていただくことで、親しい仲間とも会話をすることができ大変楽しい年になりました。
日本製鉄鰍フ経営状況については、2024年度上期の連結事業利益は3,757億円、通期では6,700億円の見通しとなりました。足元は、円安の進行に加え、海外、とりわけ中国の過剰生産能力の存在や成長力の低下、米国におけるトランプ政権の発足、原料市況と製品市況のデカップリング構造の鮮明化といった不透明かつ厳しい経営環境に直面しており、残念ながらこうした状況はそう簡単には好転しそうにありません。そうした中にあって、USスチールの買収については、バイデン大統領による計画中止命令を受け、日本製鉄鰍ェUSスチールとともに米国政府などを提訴することになりましたが、希望を持ちながら今後の動きに注目したいと思います。加えて、カーボンニュートラル、人口減少による日本経済への中長期的影響など、様々な課題も含め、現役の皆さんにとっての挑戦は今後も続くことになると思います。当社の長い歴史に培われた経験や現経営層の皆さんをはじめとした全社の英知によりこれらのハードルを乗り越え、次なる成長の糧とし、当社が名実ともに全世界の鉄鋼業をリードしていく存在となることを確信しています。
さて、昨年を振り返りますと、ウクライナ、ガザ地区への侵攻、アサド政権の崩壊をはじめとする、長年に亘り地球規模で発生している紛争、分断、対立、存続の危機は、今を生きる我々に対し、目前の課題にどういう考え方でどう対処すべきかを真剣に考えねばならない現実を突きつけました。加えて、我が国・米国における新たなリーダーの誕生、欧州の不安定な政治など、新たなスタンダード、ルールを必要とする世界が、今まさに本格的に始まろうとしています。日本においても、この30年間、世界でも例を見ない停滞を続け、国際的地位も下落し続けている状況にあり、一級国家として存続するための様々な課題への対応が強く求められる状況になってきています。
とりわけエネルギー問題については、資源小国である我が国にとっては極めて重要な課題であり、原子力発電所の再稼働や、運転期間の延長など、日本を取り巻く環境や目の前の現実を直視した真摯な議論が、政府のみならず国民的な議論が今後進展することを期待したいと思います。
我がOB会も、コロナ禍の影響により長らく各種行事を中止せざるを得ない状況が続いておりましたが、感染拡大が終息して以降は、対面で開催可能なイベントが増え、懐かしい面々と様々なシーンで再会を果たすことが出来たのは、大変喜ばしいことでありました。
こうした喜びや幸せの背景は、一人ひとりが家族や友人、社会とのつながりの必要性と重要性を再認識、再発見したことによるものと思いますが、OB会は、まさにこうした人や社会とのつながりにより、喜びや幸せを様々な形で会員の皆さまへ提供出来る場であり、是非OB会の活動を通じて絆を一層深めていただければと思います。
OB会といたしましても、魅力と活力溢れる活動を実現すべく、ワーキンググループを立ち上げ、様々な検討を進め、毎月の会報やホームページの刷新、講演会活動の充実化等に取り組んでおります。会員の皆さまにおかれては、OB会活動への積極的なご参加はもとより、他のOBにも広くお声掛けいただき、是非会員増強にもご協力をいただければ幸いです。引き続き、副代表をはじめとした役員の皆さんや、事務局の皆さんとともに、より多くの方々がOB会の活動を通じて、充実した日々をお過ごしいただけるよう微力ながら力を尽くして参りたいと思います。
最後となりますが、本年も会員の皆さまとご家族にとって、健康で幸せな一年になりますよう祈念申し上げ、新年のご挨拶といたします。